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会長挨拶

令和4年7月12日

満を持して躍動する組織、その先に
創立70周年が待つ—回顧と前進を誓いつつ—

 

東京都退職校長会会長 多田 丈夫

1.創立70周年を迎える

 来年の5月16日に創立70周年記念式典を迎える。役員・関係者の努力が実り、白羽の矢が見事に的中、幸運にも新たな開催会場に「調布市文化会館たづく り」が決定した。天を味方に意を強くし、早々に3つの実行委員会組織が発足した。あと一年を見据え、精鋭の委員諸氏が式典準備に勢いづいている。また、創立70周年を好機にと協賛金構想が新たに計画された。明けて草木が芽ぶき、山が笑う明るい5月に晴れの祝賀の時が見事に花開くことを期待している

2.都教育長を表敬訪問

 時は巡り、春に感じる哀愁を はねのけるかのように、爽やかに浜佳葉子東京都教育長とお会いできた。我々の歴史ある組織の存在とこれまでの実績をア ピールするに心地よい時間でも あった。都の教育課題と真剣に向き合い、元校長としての才知と経験を生かし、都民の期待に応え、全都の学校や地域社会に貢献する奥行きの深い都内唯一の組織を理解していただいた。都庁第二庁舎16階の窓から富士を仰ぎつつ、教育長のご就任を祝うに相応しい5月17日の表敬訪問だった。

3.支部総会の再開を祝う

 待ち焦がれていた定期総会・ 会員研修会が終わった。また、コロナ禍での苦悩の時間から少 しく解放され、25支部総会が再 開している。誠に、有り難い。3年間の鬱憤を晴らし、一日も早い日常を取り戻そうとの各支部長の並々ならぬ決意が伺えた。訪れたどの支部も工夫を凝 らし、久々に一堂に会した喜びで会場に熱気が漂っていた。
 さ て、会員増強プロジェクト•チー ムから今年109人の新入会員を迎えたと聞いた。本会の目的 に適った明るく楽しい会の創造 と各支部のさらなる発展を強く願っている。

4.都の教員不足に協力を

 今、文科省の全国調査で公立小中高•特別支援学校の教員が 2500人以上が不足し、現場の事態は深刻だという。理由 は、育児休暇の取得、病気によ る休職、特別支援学級の増加等 にあるとのこと。都も例外では ないようで、この5月に都人事部選考課から「臨時的任用教員の募集」について、本会に緊急の協力要請があった。事ここに及んで協力を惜しまないと回答 した。この状況が長く続けば、 子ども達の学びや成長への影響 が懸念される。困難な課題も横 たわっているが、まずは、支部長を介して呼応を始めた。会員 の全面的な協力をお願いした い。ただ、緊急的な対策に留まらず、抜本的な対策を同時に 進めることが重要ではないのか。 今後を注視したい。 



                                                    令和4年4月1日


今、立ち止まって真剣に考えたいこと
-特に、注視したい教育の動向-

東京都退職校長会会長 多田 丈夫

◎「湯島神社」での初詣

 人日の日の日、2年振りに役員一同で湯島神社を参拝し、会員の安寧と新型コロナの終息を祈った。その日は珍しく初雪が降り、いつもの境内の白梅は、寒さで蕾みが縮み趣を異にした。それでも学問の神様を祀る神社の数か所の掛け所には、沢山の合格祈願の絵馬が奉納されていた。そう、この「湯島の白梅」は、知る人ぞ知る泉鏡花の新聞小説「婦系図」の舞台にもなっている。また、時代を超えて読み継がれる名著<君たちはどう生きるか>―吉野源三郎著―の文中「石段の思い出」にも湯島神社のくだりがある。「障子の向こうには、もう春を思わせる暖かな空が、静かに遠く晴れ渡っていました」と結ぶ。狭い境内の自梅は、半世紀前に地元の有志で募った青年たちが植えたと聞く。いつ訪ねても心和み、意味ある場所なのである。

◎「支部間交流」に期待

  振り返るに、令和3年4月20日付で新たに三つの「会員の呼称」が会則に条文化された。新たな呼称の「正会員」・「特別会員 」・「奨励会員」を定めた意図は、正会員の明確化と共に、会員が所属支部ばかりでなく、他支部の魅力ある活動にも積極的に
参加できる門戸を開いたことだ。支部間の相互交流が盛んになることで、親睦と互助も強固となり、会員一人一人のボルテージが最高潮になることを願つた。ここに来て、支部での新しい呼称への理解と共感の動きに拍車がかかってきていると聞く。折しも、生涯学習部が「支部の活動」の再調査を行っている。今後、この調査の有効活用で、支部間交流がダイナミックに展開していくことを心から期待したい。

◎「教員免許更新制」の行方

  さて、この時期、教育の動向から目が離せない。小学校の「35人学級」への段階的移行と教科担任制の導入、低い女性管理職の割合、教員のなり手不足、特別免許状、等々だ。中でも「教員免許更新制」の行方が気がかりだ。10年ごとの講習を義務付けている現行制度は不十分だとして、中教審の特別部会が廃含め、新たな研修制度の創設を求めている。「30時間の確保は、多忙な教員にとって負担が大きい」「実践的でなく現場に役立つていない」などと、当初から課題が多い。現実は、学校現場の負担感に加え、情報化の進展等で目まぐるしく変化する社会との乖離も目立つ。まもなく、法改正が行われ、2023年度から新しい研修制度がシフトされるという。如何なものか。教師が学び続けることに異論はないが、教育投資こそ、未来への先行投資だ。まずは教職員の定数を増やし、遅々として進まぬ「学校における働き方改革」を急ぐべき 一ではないのか。まもなく、桜の季節
を迎える。 一

 

 


                                                              令和4年1月14日

耐え忍び、改めて伝えたい「本会の心」
―春を待つ気持ちは今も続く。―
                                          

                                        東京都退職校長会会長 多田 丈夫

 

 

 

  明けましておめでとうございます。本年も皆さんと共に新しい年を迎えられたことを心から喜んでおります。

◎言行一致の年に

  巻頭言を書きつつ、「冬来たりなば、春遠からじ」の詩が頭を過った。辛い時期を耐え抜けば、きっと幸せな時期が必ず来るという。イギリスの詩人シェリーの「西風に寄せる歌」の一節。英語では<If winter comes,can spring be far behind?>とか。  さて、 一昨年来、本会も新型コロナウィルスとの戦いに翻弄され、今なお先の見えないまま正月を迎えた。それでもこの困難な最中、英知を結集して本会の体質強化に努め、会員の熱意と努力で一つ一つ成果を挙げている。「会員の呼称」の確定然り、  「新たな支部運営規則や規程」の制定、それに「支部長会の権限強化」や「手作りの会員名簿づくり」の取組等に懸命だつた。だが、難題も多い。究極の課題は、「会員増強」の一点にある。今年こそ、この課題が実を結ぶ「言行一致の年」にしなければならない。まずは、言葉の世界から現実のギャップを埋め、腹を据え、その実現に奮起したい。会員約2,500名の不退転の決意があれば、この危機的状況を突破できると信ずる。思案に暮れる時、いつも「支部だより」から勇気と元気をいただく。そう、この会報が届
く頃は、冬の霊峰富士が茜色に染まるだろう。新たなステージに向かい順風満帆の日を期待したい。

◎コメント・ポリシーを

  コロナ禍が長引き、漠然とした不安を抱える人が多くなつた今、俄かに、皇室の慶賀のニュース等々からコメント・ポリシーが話題となつた。情報化の中でマスコミや報道のコメント欄は、多様な意見や考え、感想が集まり、他人の意見や考えに触れ、自分の考えを整理し、より深く、多角的に理解できる安心。安全な場でもある。しかし、情報の偏り、不安の正当化、誹謗や中傷等、公序良俗に反するコメントや行為も目に余る。「表現の自由」は無制限ではないだろうに。折しも小・中・高校での「教科書のデジタル化」の報道も盛んだ。しかし、デジタル化に不安を感じている教員や保護者も多い。何のために教科書をデジタル化するのか、未
だ明解はない。重要なのは、教科書を使って何を教えるかだ。国は、各学校に端末を23年度までに配布する計画と聞く。教育の基本は、本を読む、文章を書く、物事を考える等である。発達段階を無視し、デジタル教科書の導入を急ぎ、無制限に使える環境となっていくことが教育的なのか、よくよく考えたい。豊かな心を育て安心・安全でありたい教育界にもコメント・ポリシーの環境づく
りを急ぐことが先決だろう。初春、つれづれなるままに記す。



 


令和4年度 活動方針・事業計画等


1 本年度の活動方針
 今、<組織 の意思を未来に繋げ、皆で祝う70周年>をテーマに、本部は来年の5月に予定されている創立70周年記念式典の準備を急いでいる。そのために記念式典委員会、記念誌作成委員会、記念特別事業委員会の3つの委員会を発足させた。各委員会は、支部と一体となつて過去の式典に学び、ワンチームで実行段階へと精力的に企画を練っている この間、コロナ禍にあつても命と健康を最優先し、業務の停滞を防ぎ、組織の維持・発展にも努力している。
 特に、この困難な状況を克服するため、会員の、インターネットやメールを活用した環境づくりを早くから着手し、
今ではテレワークによる主要会議が定着している。一方、本会の目標を達成するため、41支部との円滑な意思疎通も図られ、安定した組織運営が強化されている。ここに、アフター・コロナを見据えて、我々が一致結束して誇れる事業推進をするため、今年度のスローガンに「Step for Step」 ―同じ歩調で、着実に一を掲げた。すべての会員が同一歩
調で晴れの式典準備に励み、さらには、本会が存在感のある退職校長会として、未来に向け力強く歩み続けることを誓う一年にしていきたい。その実現のため、次の4つの方針を提示する。

①入会促進の核となる「会員増強プロジェクト・チーム」―P・ T―を中心に、5校種の現職園長・校長会への働きかけ
を強め、支部と連携し、計画的に全員加入への促進を図る。
② 本会の目標である「親睦と互助」・「生涯学習の推進」・「教育支援活動」の実現に向け、テレワーク環境を整備し、会報やHPを一層充実させ、魅力ある会務運営を図る。
③ 倉J立70周年記念式典の準備に勤しみ、組織された3つの実行委員会の横断的な協力関係を醸成しながら、迎える式典が心に残り、未来を託する喜びの式典となるよう努力する。
④ 国を挙げて取り組んでいるコロナ感染症防止対策に鑑み、昨年に引き続き、今年度も組織としての「基本的な共通指針」を定め、会員が共通認識をもって遵守・行動する。

 

2 スローガン「Step for Step」 ―同じ歩調で、着実に

3 活動の重点

  ○ 会則の周知を徹底し、校長退職者の全員加入を目指し、現職園長・校長会、並びに各支部と区市教委との連携に努める。   あわせて、支部間の体験的交流を積極的に促進していく。
  ○ テレワークによる各種会議、委員会活動の活性化を図るとともに、各部の組織的・効果的な運営と責任体制づくりに努める。
  ○ コロナ禍にあつても、会務を促進し、各種会議等の計画的で効率的な運営に努める。特に、創立70周年記念式典に向けた   横断的連携を強化し、思い出に残る式典を準備する。

 財政の健全化を目標に、「予算編成の基本原則」に沿い、各事業の総点検と見直しを行い、将来を見通した適切な予算編成   と執行に努める。
 ○会員の親睦と互助に寄与するとともに、生涯学習の場と健康づくりの拡充に努める。
 ○ 「会報発行の基本原則」に沿い、年4回発行する会報、並びにHPの充実を図り、会員相互の情報の共有と本部と支部との
 絆を一層強める。
 ○都教委、教育機関0諸関係団体との連携を図り、本会の充実と発展に努める。

4各部・委員会の目標・事業計画
 (1)総務部
 ○本会の綱領や活動方針を踏まえ、業務全体の円滑な運営・管理と各部、各組織間の連絡、調整に努める。
  ○総会、評議員会、支部長会、運営委員会等の会務の運営進行の任に当たる。
  ○全連退、関ブロ大会関係、五団体 (園長会・各校種校長会)等との連携を深めるための会議等の企画・立案・運営の任を負う。 ○41支部の情報収集に努め、本会の諸課題に関する連絡・調整に努める。
  ○会員の動静と会員数の把握・整理に努めるとともに支部長会と一体となって入会促進に努め
  ○令和4年度 2022年度)版会員名簿発行に向けて、平成29年度 (2017年度) 版会員名簿の改訂作業を行う。経費縮減のため、  製本前までを手作りで行う。
  ○令和5年 (2023年)5月16日に、本会創立70周年記念式典を挙行する。実行委員会を組織してその準備を鋭意進める。
  ○その他、各部に属さない事項(定期総会の要項づくりは手作りにする)。

 (2)会計部
  ○新年度予算は、「予算編成の基本原則」に則し、編成する。
  ○各部、各委員会等と連携を図り、諸活動、諸事業の円滑な運営ができるよう配慮する。
  ○会員減少に伴う収入減により、予算の編成、執行を適正にし、極力支出の抑制に努める。

 (3)広報部
  ○平成27年度に定めた会報発行の基本方針に則り、編集・発行に当たる。
  ○会報は、令和4年7月と10月、令和5年1月と4月の合計年4回発行する。ページ数は全8ページとする。
  ○会報の編集校正は、令和3年度と同様に行う。各部員が自宅でメールを送受信しての作業が中心となるが、コロナの収束状   況を見ながら、部員が一堂に会して作業に当たる日も大切にする。
  ○本部の情報を適時・適切に提供すると共に、支部活動及び会員の声を大切にして、本部と支部及び会員相互の連携の役割  を果たす。
  〇創立70周年記念行事の情報を定期的に発信して、70周年を祝う気運を高める。
 ○最終校正は会長の責任で執り行うが、広報部は編集及び校正作業全般の責任を負う。
  ○会報発行に当たっては、正副会長会、運営委員会及び事務局長と緊密に連携を図る。

 (4)福利厚生部
  ○叙勲、米寿等の長寿者に関する支部情報の的確な把握に努め、併せて情報の収集、整理、保管の任を負う。
  ○別こ定める「慶祝等に関する内規 に沿つて、会員の慶弔に関する事務を処理する。
  ○毎年10月に実施される「東京都教職員物故者追悼式」での「追悼の言葉」の遺族代表候補者を7月上旬までに選定し(東京   都教職員互助会に)推挙する任を負う。
  ○各支部との連携を密に、長寿会員、功労会員、栄誉会員の正確な把握に努め、総会時の名簿に掲載する責任を負
  ○総会後に実施される懇親会 (今年は中止)及び新年懇親会の企画、推進の任を負う。
  〇年金、高齢者医療、介護等の社会情勢からの情報提供に資する。
  ○東京都教育委員会幹部との懇談会の企画・運営・調整を行う。

 (5)生涯学習部
  ○各支部の生涯学習活動に関する情報収集に努め、年2回の魅力ある会員研修会を企画・運営すると共に、会員のニーズに   応える研修活動の創意・工夫をする。
  〇年2回のクラブ委員長会を運営し、活動状況、クラブ会員の把握等に努め、創意工夫して、各クラブの活性化に努める。
  ○各支部及び居住する地域で活躍する会員の情報を集め、会報誌等への掲載に尽力する。

 (6)情報推進部
  ○その都度事業としてのホームページ更新作業を適宜実施する。
  ○各支部の特色ある活動のホームページヘの掲載について前向きに取り組む
  ○Z00M等のツールを使つて推進部会を5回開催し情報推進部開設の趣旨についての確認及び部の今後の在り方について     話し合いをもつ。
  ○現在、正副会長会、運営委員会がZOOMによるWeb会議を実施しているが、支部長会、ブロック長会、各部会等にもこの手   法を展開していく。
  ○情報化の光と影の問題で特に影の部分に焦点化した情報提供に努めていく。

 (7)特別委員会 (業務運営改善委員会)
  会員増強プロジェクト・チーム
  ○会員増強に関する情報の収集・管理に当たる。
  ○会員増]剣舌動を41支部長会と連携しながら実施する。
  ○会員増強に関わつて、新たな会貝J「会員の呼称」に基づく定年退職者への勧誘活動及び中途退会者への引き留めなどに   ついて、支部長会との情報交換を通して推進する。特に、支部における新たな工夫した勧誘活動 (報告と協議)についての啓発   活動をする。
  ○現職都公立全校種校園長会に本会「会報」の2年目の配付をする。

 (8)教育関係機関・団体との連携
  ○東京都教育委員会との懇談会を開催し、教育課題に応える教育支援を推進する予定である。
  ○東京都国公立幼稚園・子ども園長会、公立校長会5団体との教育懇談会等を開催し、各校種間の校長会との連携強化に努  める。
  ○全国連合退職校長会との連携強化に努めるとともに、 1都9県の関東甲信越地区退職校長会との情報交換を密にし、資料   提供及び連携強化に努める (本年度は埼玉大会)。




参考資料

予算編成の基本原則

1.諸般の社会状況並びに本会の厳しい財政状況に鑑み、節約を基本とした予算を編成する。
2.総予算は、昨年度予算より、縮減された緊縮予算とする。
3.各事業における広告掲載料等の収入は、一般会計の雑収入に組み入れ、その用途については、別途検討する。
4.積立基本金等は、原資を食い潰さない範囲内で一般会計予算に反映する。その用途については、会計年度ごとに検討
 する。
5.特別会計の積立基本金については、今後、長期的視点に立ってその用途を検討していく。
6.予算編成に際し、各部署は、予算企画書を事前に会計部に提出する。
7.予算執行に当たっては、事業計画ごとに無駄を省き、常に、効率的、効果的運営と公正にして且つ適正な支出に努め
 る。
8.各部署は、昨年度実績より10%削減(努力目標)を目途に予算案を作成する。

 


 

                                 

会則改正について

1)会則改正が決まるまでの経緯

 多年にわたる本会の組織や事業内容等を総合的に点検・改善しようと平成27年9月16日本部内に「業務改善・基金検討委員会」が設立された。委員は、会長が推薦し、本部役員、評議員会、支部長会等から構成された8名の委員が選ばれた。委員会には会長から4つの諮問事項が示された。これに応え、委員会は、1年4カ月、延べ18回の協議を終え、平成28年11月7日、会長に「答申」を提出した。その「答申」を受け、会長は直ちに5名で構成された会長直属の〈作業部会〉を平成29年2月7日に組織し、「会則の全面改正」に着手した。第一回会合は、3月1日(水)に開かれ「答申」の論点整理を行い、平成29年3月30日に会則改正第一次案を作成するに至った。この第一次案は、〈第三回教育フォーラム東京・2018〉のテーマとなり、各支部から参加した180名の会員と業務改善基金検討委員会のメンバーとがパネルディスカッション形式で意見交換をした。その後、各支部から会則改正に関するアンケート調査を実施した。その結果を分析し、第二次案が提示された。素案作成の過程で〈東京都退職校長会の存在すら知らない管理職多くいるが〉という現実。並びに、この10年間、各校種退職者の合計数が平均270名いるにもかかわらず、毎年入会者は30名(入会率10%程度)という実態が浮き彫りとなった。会員激減の主因は、本部も支部も多年にわたり入会条件である〈希望制〉に甘んじていたこと、本部が旧態依然たる募集スタイルを踏襲してきたこと、会員の超高齢化という社会現象に敏感に反応しなかった組織の怠慢さにあるとの結論に至った。さらに、このままの状況からは、数年先には組織衰退に歯止めをかけるには、猛省の上に再興の哲学が生まれることしか道はないとの見解を共有した。
会則改正に至る詳しい経緯(概要)は、以下の通りである。

2)主たる検討会議の経過

 (1) 平成27年9月16日 業務改善基金検討委員会の発足

◯4つの諮問事項 ①会則を含む業務の改善について ②会員減少に伴う支部組織の在り方について、③基金と今後の用途について、 ④その他、緊急を要する事項

(2) 平成28年7月25日 業務改善基金検討委員会中間報告
(3) 平成28年8月8日 同 中間報告への回答
(4) 平成28年11月7日 同 「答申」受理
(5) 平成29年2月7日 同 作業部会の設置
(6) 平成29年3月1日 同「答申」にある会則改正の15項目の論点整理
(7) 平成29年3月30日 同 作業部会で会則改正素案を作成
(8) 平成29年5月16日 「第二回教育フォーラム東京2017」を開催

-テーマ:「答申」から東京都退職校長会の将来像を考える-42支部より116名参加

(9) 平成29年5月16日 同 作業部会-予想される会則改正までの今後の手順
(10) 平成29年8月7日 同 作業部会-会則改正についてのアンケート
(11) 平成29年9月30日 同 作業部会- アンケート調査回収
(12) 平成29年10月10日 同 作業部会-会則改正アンケート調査集計と分析
(13) 平成29年10月30日 同 作業部会-アンケートに関する支部長の意見集約
(14) 平成29年11月11日 同 「会則改正の基本的考え方」を提示
(15) 平成29年12月6日 同 作業部会-会則改正第二次案検討・作成

-現職の校長を準会員とする(第5条の改正)を決定-
-会則改正の15項目の審議結果を提示-

(16) 平成30年2月5日 同 支部長会に「会則改正案」を提示。説明
(17) 平成30年2月14日 同 正副会長会、企画委員会合同会議の了承
(18) 平成30年3月7日 同 作業部会-支部長会(2/5)での意見集約
(19) 平成30年4月16日 同 作業部会-評議員会で会則改正案の了承
(20) 平成30年5月14日 同 定期総会会則改正案提案-全会一致で決定
(21) 平成30年8月31日 同 作業部会-プロジェクトチーム提案-

-内規等の検討に入る-

(22) 平成30年9月20日 同 会員増強促進プロジェクトチーム発足

(注)
・業務改善基金検討委員会・・・・・・・・・18回の会合
・業路改善基金検討委員会作業部会・・・・・23回の会合

3)再興の哲学で、現職校長を迎え入れたい。

 熟慮に熟慮を重ね、会長見解を平成30年3月6日「会則改正の基本的考え方」を作業部会に提示した。その骨格は、-直ちに入会資格に目を向け、従来からの入会条件の〈希望制〉を根本的に見直し、本会のこれからの会員資格を現職校長に「準会員」という名称を付与し、定年退職後から速やかに会員となるよう「全員加入制」に抜本的改革をする-という革新的提案であった。同時に、現職の校長は、東京都退職校長会の存在すら知らない現実がある。このことは、65 年の歴史を刻んできた本会ではあるが、これまで積極的に各校種の現職校長会に本会の紹介をする足跡はなかったことも明らかである。この現実を踏まえ、「全員加入」を実現するためには、従来の慣行を打破し、時間を要しても会員一人一人の意識改革を求められた。また、新しい会則の発足と同時に、次の約束が提示された。

 (1).全会員が組織を通じて各校種を退職する校長先生方に「全員入会」を周知すること
 (2).本部と支部とが一体となり、足並みを揃えてこの目標達成に徹すること。
 (3).42支部の会員が心を一つにして「抜本的改革への火」を絶やさないこと。
 (4).各校種の現職校長会との連携・支援を強めること。

4)改正された会則(総会要項参照)

5) 42支部の支部総会が無事終了。

 今年の支部総会への出席は、5月12日(土)の府中支部総会からスタートし、6月30日(土)の港支部総会までの1カ月半を要した。42支部の内、会長が16支部総会に、各副会長が手分けして26支部の支部総会に出席した。本部方針と重要な業務の周知、改正された会則の理解と本部と支部との協調・協力の体制づくりを訴えた。さらには、各支部の現状把握に努めた。ある支部の卒寿を迎えた会員から「常に体を労わること」「食に感謝していただくこと」「よく、おしゃべりをすること」「いつまでも社会に貢献すること」の三つの示唆に富んだお言葉が心に残った。今年も各支部のあたたかな歓迎と行き届いたご配慮に心打たれた。

6)支部長会の報告

  支部あっての本部」を基本に、定期総会、会員研修会、教育フォーラム等の行事をはじめ、本部は今まで以上に支部との一体化を推進している。特に、ブロック長会を中心として支部長会の更なる充実を図ってきている。また、各支部長から意見を聞く機会も増やし、支部が抱える懸案事項に対して、緊密な連携を図っている。尚、本年度の第一回支部長会は、去る7月23日(月)に開催された。ここでは、目黒支部長 高橋毅氏、大田支部長 小田部規矩夫氏、武蔵野・三鷹支部 本郷浩之氏、北多摩西支部、鈴木一徳氏、西多摩支部 村野久子氏、神奈川支部 安藤正明氏の新支部長7名が紹介された。また、5ブロックを統括するブロック長も新たに以下の5名が選出された。支部長会の充実した運営と各支部のますますの活性化を期待したい。

•第一ブロック長 岩谷 榮子氏(千代田・中央支部長)-所管地区 12地区 会員数 186名
•第二ブロック長 伊藤 誠一氏(足立支部長)-所管地区 7地区 会員数 458名
•第三ブロック長 本郷 浩之氏(北多摩北支部長)-所管地区 9地区 会員数 432名
•第四ブロック長 村野 久子氏(福生・あきる野支部長)-所管地区 8地区 会員数 1014名
•第五ブロック長 小林 和子氏(練馬支部長)-所管地区 8地区 会員数 717名

7)「会員増強促進プロジェクト・チーム」の発足 と目的

 去る9月20日(木)に〈作業部会〉を発展的に解消し、各校種の代表者11名で構成された「会員増強促進プロジェクトチーム」が本会の専門委員会として発足した。この会は、本会の会則改正を機に各校種の現職校長会に対して、一つに「東京都退職校長会の存在と目的を積極的に周知し、現職校長会との関係強化を図ること」。二つに、「本会の会則の周知と入会への啓発を図ること」三つに、「本会の魅力ある事業の紹介と退職後の仲間づくりを進めること」、四つに、「都教委と連携して国際都市東京の教育振興に寄与していること」、五つに、「全連退に加入している東京都を代表する42支部で構成されている教育団体であること」の5つの大きな目的をもって本会の存在意義を高める施策を展開していく組織であり、本会の事業を周知・啓発活動する横断的組織である。この度の会則改正を機に、将来を見据えた「組織再生の大改革」を具体化するこのプロジェクトチームへの期待は大きい。参考までに全面改正された会則の発布は平成31年1月1日からと約束され、その間は、会則の周知期間となっている。組織されたプロジェクトチームの構成メンバーは、以下の通りである。(敬称略)

1.(小学校班)
 (1).桐谷 澄男(元、江東区立明治小学校長)
 (2).寺崎 千秋(元、練馬区立光和小学校長)

2.(中学校班)
 (1).今井 重夫(元、大田区立田園調布中学校長)
 (2).前田 烈(元、台東区立忍岡中学校長)
 (3).壷内 明(元、港区立御成門中学校長)

3.(高等学校班)
 (1).佐治 恒孝(元、都立晴海総合高等学校長)
 (2).天沼 照夫(元、都立北園高等学校長)

4.(本部)
 (1).多田 丈夫(元、都立国立高等学校長)
 (2).宇津木 順一(元、武蔵野市立第四中学校長)

8) 「五団体との教育懇談」開催

 去る8月29日(土)、公立の園長、小・中・高・特別支援の「五団体との教育懇談会」が事務局で開かれました。幼稚園・こども園長会会長 田代恵美子氏、小学校長会副会長 種村明頼氏、中学校長会副会長 松丸晴美様、高等学校長協会副会長 上村肇氏ら4名の校長先生の出席をいただき、各団体の当面する教育課題を吐露していただきました。忌憚のない情報交換が行われ、今後の一層の連携強化を約束しました。特に、本会から各団体の平成27年度退職者名簿提出を依頼させていただきました。席上、この機会が本会入会の促進に繋がることを期待し、管理職の環境が変化しようと「本会入会の基準は、60歳定年である」ことを強調させていただきました。この会議の様子は、会報第190号に記載されます。

都との2つの委託業務について

1)都教育庁人材バンク事業運営に伴う相談・普及広報等業務
 ① 都の方針転換で都教育庁人材バンク事業は、令和2年3月末をもって終了した。
 ② それに伴い、本会が受託していた本業務も9年間の幕を閉じた。
 ③ また、この業務の全ての運営を任せられていた「人材バンク受託事業運営特別委員会」は、3月末をもってその任
   を終えた。

2)採用前研修事業受託委員会の動き

〈報告〉29年度をもって「採用前実践的指導力養成講座」が終了。

 去る9月5日都教委より、『5年間にわたって都教委と東京都退職校長会が委託契約を結んで実施してきた「採用前実践的指導力養成講座」は、平成29年度をもって終了する』と正式に告げられた。主たる理由は「平成25年度から悉皆で実施してきた事業であったが、制度上の課題があって今後、継続することは難しいと判断した。全面的な協力をいただいた東京都退職校長会に心から感謝する」とのコメントがあった。さて、この事業の発端は、平成25年5月15日の都教委での会合に遡る。当時の指導部幹部から『最近の傾向として、採用試験合格者が新地に赴任したにも関わらず、様々な要因から一年を待たず100名近い者が学校を去っている。小学校では着任早々、いきなり学級担任を任せられるケースも多く、大学での講義や教育実習程度の体験だけでは新規採用教師としての勤めは心もとなくなってきた。特に、組織の中でもまれた体験が乏しく、児童・生徒を前に指導に戸惑うケースも増している。また、保護者会や同窓会、地域との会合等の対応に躓く例がかなりあると聞く。これらの実例から学校体験を一日でも早く実施し、学校環境になれさせると共に教師として具体的で、かつ実際的な行動ができるように訓練しておくことが「費用対効果」という観点からもこの事業をオール都庁態勢で実施する』との考えが示された。この深刻な事態を受け、東京都退職校長会が総力を挙げてこの事業を受託したのである。事業の初年度には、公立学校教員採用候補者約2,500名に対して、全校種から1,052名の退職校長が講師として参加した。校長先生方の高い見識と経験の豊かさが存分に発揮された5年間だった。同時に、この画期的な事業を推進した都教委の英断に敬意を表すると共に、本会の綱領が詠う〈国際都市東京の教育に寄与する〉ことのできたことは組織の誇りでもあった。
最後に、この事業の推進役にあたられた各校種代表からなる「採用前研修受託委員会」並びに、この事業に心を寄せていただいた多くの会員各位に感謝し、報告とする。

東京都退職校長会会長
採用前研修事業受託委員会委員長 多田 丈夫